ことばにできない
8.新しい暮らし
ひと月くらい経って、私は専務に呼ばれた。

「アナタ、頑張ってくれてるわね。
今日から正式に社員。いい?

それから、息子たちの出た高校に定時制があるから、四月からそこへ行きなさい。

簿記も憶えてちょうだい。
長く働いてもらうためには、必要だから。

これ全部、専務の私の、命令だからね」

専務はこれだけのことを、一気に私に伝えた。

私が口をはさむ隙もなかった。



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