神様のきまぐれ
コンプレックス
うつむいたまま
コトバを探すヒナコを、
俺はただみていた。

「明日も、練習すんのか?」

そう、会話を繋いだ自分に、
彼女は笑みいう。

客から金をもらってるんだから
裏切りたくないって・・・。

技術は別にして、
いっちょまえに
プロ根性はある。

ちょっと感心した。

「練習すんなら、
部屋貸してやるよ。
アパートの一室じゃあ
できないだろ?あれは。」

一人暮らしの部屋から、
アノ声はまずいだろうと、
提案した自分に、
ヒナコは赤い顔をしてる。

・・・と、思う。

実際は、外灯が暗くて
よく見えないが。

ヒナコが口を開いた。

「本当に恥ずかしくて。
今日だって日向さんがいると
思わなかったもの。」

って。


なんか、可愛いな・・・。


「さっきの店で飲むから
ヒナコを連れと来てって
言われてたんだ。

・・待ってる間に
寝てしまったみたいだけどな。」

「あそこ、
気持ちいいですよね。
お昼間は特に太陽が入るから、
眠くなっちゃう。」

俺のコトバを拾ってる。

「そうだな。
太陽が当たって柔らかいな。」

何ともない会話。

何ともない返事をしてる
自分・・・。

不思議な感覚に
とらわれた。


 

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