彼の隣りに寝る女
格差愛
内くんとは毎日電話をして会えるだけ会っていた。

仕事じゃないときは大学まで車で迎えにきてくれた。

友達も一緒に送ってもらったりしていた。

「ひなの彼氏~?どこの大学?」

そう聞かれても答えれなかった。

大学生どころか高校中退、この時間に迎えにこれちゃうのはパチンコ店員だから

なんて言えなかった。

だから

友達にはお客様で付き合ってるフリをしていることにしていた。

内くんは、職場であるパチンコ店を変えた。

同棲している彼女とちゃんと別れた証拠だった。

そのため私と内くんの家の距離が逆に遠くなってしまったけど。

実家にも連れてってくれた。

お母さまはとても気さくな方だった。

「ひなちゃんは大学生なの?」

「はい」

すると内くんは自慢げに言った。

「ひなは留学もしたことがあって頭がいいんんだよ」

「こんな礼儀正しいお嬢様この子にはもったいないわ。うちは見てのとおりこんな環境だし嫌になったらいつでも別れてね」

と笑いながらお母さまは私の肩をたたいた。

確かに狭いアパートで

部屋の中もごちゃごちゃ汚くて

手料理ではなく出前生活が主流の感じで

ここに嫁に来るのは厳しいな、と思いつつも

悪いことなかりではなかった。

内くんにはまだ小学2年生の父親違いの弟がいて、

私たちが弟を連れて出かけると

まるで若夫婦とその子供のようで楽しくて

お母さまと内くんの成人式のスーツを買いに出かけたときは

「ひなちゃんはどれがいいと思う?」

と、私の意見を尊重してくれたり

決して裕福ではないのにご馳走してくれたり

よくドラマでみる嫌なお姑さんとは全く縁遠い素敵な人で

家族に溶け込んでいる気がしていた。





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