フタリの事情。
*セナちゃん
「――おし、今日はここまで」


授業の終わりを先生が宣言した瞬間、タイミングよく鐘が鳴った。


「きりーつ、礼。……あざーしたー」



ふぁぁー。

今日の授業、やっと終わったー。


数学って、なーんであんなに眠くなるんだろ?

俺絶対、数字とは相性悪いな。


メシ食った後のお経みたいな古典もキツイけど、一日の終わりの数学も全然負けてないよな。


でもさ、放課後、“いざ部活!”ってなると、何でこんな頭冴えてくるんだろ?

さっきまでは、あんなに眠くて眠くて仕方なかったのにさ。




「それじゃあねー、テツタ。
姉ちゃんと約束あるから、今日もお先!」


帰り支度を済ませたワタルに、肩をぽん、と叩かれて、


「おう、バイバイワタル!」


俺も手を振り返した。



ワタルのヤツ、姉さんとこの後デートかな?

今日一日機嫌よかったし、多分そうだろーな。


そんじゃ、俺も部活行くか!

早くボール蹴りたいし!

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