フタリの事情。
*関谷家の後押し
――本っ当に、今って朝か!?


なんて疑いたくなるくらい、灰色にどんより曇った空。

リビングの窓から見て、俺はため息をついた。


屋根を叩く雨音はうるさいほどで、父さんが見てるニュースじゃ、どっかの地域で洪水警報なんかが出てる。


これじゃー、今日は朝練は確実になしだ。

せっかく早く起きたってーのになぁ……




「おはよーテツタ、篠宮……」


ジャージ姿で頭を掻きながらモソモソ現れたのは、関谷家長男のアツシ。

ちなみに今年から社会人になった23歳で、俺とは6歳はなれてる。



あ、篠宮[シノミヤ]っていうのは、今俺の足元でパタパタしっぽを振っておすわり中の、ゴールデンレトリバーのことな。

うちの大事な家族の一員。


……名付け親は俺じゃないから、ネーミングセンスには突っ込まないで。



「おはよ、どしたの今日?
随分早いお目覚めじゃん」


「午前に大事な会議あってさ。
んで、資料作りのための早朝出勤」


あくびをかみ殺しながら、焼きたてのトーストにイチゴジャムをすごい厚さで塗ってるアツ兄。


うぇー……

アツ兄ほど甘党じゃない俺は、見てるだけで胸焼けしそう……

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