導きのウサギ
でも腹が減っては何とやら。

ボクは山を下りて、麓の村へやって来ました。

バス停近くには、無人の野菜売り場があるんですよ。

そこでジッとしていると、たまぁに人が通りかかって、ボクを見て、ニコニコしながらニンジンを買ってくれます。

山の中の人々よりも、こちらの人々には温情というものがあり、良いですねぇ~。

…でも、あそこで作られるエサは特別に美味しい。

あそこ以外では食べれないことをボクは知っています。

だからどんな仕打ちを受けようとも、あそこに居続けるんです。

―美味しい食事を食べる為に。
< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop