ツギハギの恋

とんでけ

犬のおかげであたしはあっちゃんとユリのことをスッカリ忘れてた。

喋る犬との遭遇はインパクトが強すぎてそれどころじゃなかった。

てかこの犬どうしよう……

エレベーターで7階フロアまで上がり家の鍵を静かに開ける。

お姉ちゃんはやっぱり仕事らしく家の中は静まり返っていた。



「お姉ちゃんと住んでるの。右があたしの部屋」

「おじゃましまーす」

犬を床に下ろすとトタトタとあたしの部屋に向かい走っていった。

さっきまでワンとしか鳴かなかったくせに……


靴を脱ぎ後を追うと犬はあたしのベッドの中に潜り込んでいた。


「ちょっと!犬臭くなるからやめてよ!」


頭に来て布団を剥ぎ取った瞬間……

あたしは言葉を失った。
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