恋の唄


「う、うそっ」


まさか電話で返ってくると思ってなかった私は、心の準備も出来てないまま通話ボタンを押して耳に当てた。

心臓が激しい鼓動を繰り返している。


「も、もしもし」

『俺だけど』

「……うん」


普段より固い華原君の声。
ちょっと悲しくなったけど、そうしたのは私なんだ、よね。


「部活じゃ…なかったの?」

『今日は休み』

「そ、そうなんだ。えっとメール──」

『今、暇?』

「……え?」

『会って話そうぜ。つーか……お前の顔、ちゃんと見て話したい…から』


最後の声は弱々しくて、それがリアルに華原君の心を伝えてくれた。



< 124 / 204 >

この作品をシェア

pagetop