女シャブ売人人生-波瀾万丈な一人の女の物語-

見えない

世間の状況とシャブの状況が同じ様に動く裏の世界…
私には先が見えなくなっていた。
ただ、予定日より早く子供が誕生するという事だけは初めての出産ながらに確信を持って実感していたのです。
その度に不安と焦りが込み上げてくる。
心の中で一人つぶやきながら胸の内を誰にも打ち明ける事なく一日一日が過ぎていく。
高値になる程に客は飛びついてシャブを求める。何かドッポリとシャブにはまっていく客の姿を見る度に罪悪感があった。 初めの目標まで後10万円で達成を前に色々な気持ちになる私がいた。

それから一週間もしないうちに目標の10万円が達成できた。
『目標達成』自分の中ではきっぱりと終われる気持ちで、今からをゆっくりお腹の子供の為に過ごしていこうと考えてた。しかし、自分の先の人や自分についてる専属の客や個人業者さん達がいただけに簡単な事でつまずき悩みズルズルと同じ生活が続いていく。
『どこかで踏ん切りつけないとあかん』そう思い自分の客を個人業者さん達に繋ぐ形に徐々にしていった。
でも結局は同じ。
個人業者さん達には個人業者さん達の専属の客が元々いてるだけに私の専属の客を紹介して繋いでも上手くいかず結局は客から連絡が来た。
なかなか私のやり方と同じ様に上手くいかないのは信頼関係もあるからだというのはわかった。
余計に先が見えなくなってきた。
自分が優柔不断なのか、良くいえばシャブの売人として仕事をしてきた上で客や周りに対してきちんとした形で繋いで綺麗に辞めたいという変な責任感もあった。
多分、性格的な事やと思う。
ますます見えなくなる。お腹の子供と自分の生活を一番に考えた判断が優柔不断な私と裏の世界でのルールみたいな物を自分が作りあげてただけに自分で先が見えなくなる状況も作っていたのが今思うと簡単な話だったと思う
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