運命の歯車-不思議の国のアイツ-

第2節:リョウ




深夜の駐車場に響く爆音。



特攻服を着た大勢の若者達。



背中には、蒼炎の文字が書かれていた。



そんな集団の中に、リョウはいた。



「リョウ、乗ってみるか?」



蒼炎のひとりが、リョウに声をかけてきた。



その男の横には、バイクがあった。



「乗っていいの?」



リョウは、これまで見せたことがないようなうれしそうな表情で男を見つめる。



「ああ、いいけど、壊すなよ。」



男は、リョウにバイクの鍵を渡した。



リョウが、蒼炎の集会に来ている目的は、ほとんどが、これといっても過言ではなかった。



バイクに乗れる。



まだ、免許を取れる年齢になっていないリョウが、乗ろうと思っても、普通は乗ることができない。



しかし、ここでは、そんなことを気にせずに乗せてくれた。



リョウは、初めておもちゃを買ってもらった子供のように、駐車場の中をバイクで楽しそうに走り回った。



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