明日は
SCENE 6
 墨丘にイジメ疑惑があったが、本人が否定したため話が終わった。

 もし、子吉沢が同じ立場なら誰も助けてくれる人はいないだろう。

 うらやましいとしか子吉沢は思い浮ばない。何せ家に帰っても嫌なことを抱えているからだ。

 いつものように家に帰ると、静かだった。目に見える所に父親の姿がない。部屋もトイレもである。風呂場はないので、残るは押入れしかない。

 ふすまを開けるがいない。

 どこにもいないのだ。

 酒でも飲みに行ったとしか考えられない。父親が帰ってきたら外出しようと、テレビをつけて待った。

 子吉沢は再放送のドラマを眺めているだけで、内容はよくわからなかった。

 すぐに父親が帰ってくると思ったが子吉沢が帰宅して二時間経過した。

 家の電話が鳴った。

 子吉沢は受話器を取った。

『警察です』

 子吉沢の耳に入ってきたのは男の声だった。
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