君へ

「へぇ学校来たんだ」
嘲笑う声。
生徒会長だっと派手な女の子数人に囲まれながら暗い瞳を向けて笑う。
まさかこんな奴に人気があるなんて。
趣味が悪いにも程がある。
「どうしたのぉ?珍しいじゃん」「今日遊ぼうよ」
我先にと喋りだす女子。
その中のひとりの女の子の一言でまた、奴は口を歪ませて喋り出す。
「タカシ相良さんの事知ってるのぉ?」
生徒会長---佐藤タカシはキンキンした声の質問に答える。
「同じ生徒会だからね」
昨日も偶然帰り道に会って仕方なく家まで送らされたんだ。
堂々と言い放つ。
その途端女子から悲鳴が上がる。
「有り得なぁい」「何様??」「まじムカつく」「相良のくせに」揚句に「死ね」の言葉も投げ付ける。
興奮してヒートアップした頭は考えるよりも先に言葉を発射するようだ。
言いたい事も満足に言えない自分には羨ましい。
とどこかぼーっとした頭は考える。
「こいつの家行ったら酔っ払ったオヤジが出てきてさ」
何も聞こえないと意識を遮断しようとするとぶつかる佐藤の声。
何が言いたいのだ。
始めて正面から見つめる。
「生意気だ」「ぶす」
女子の声が飛ぶ。
「こいつ虐待されてんのっ気持ちワリいっ」
乾いた笑いを上げながら叫ぶ。
いつの間にかクラス中が注目している。
クラスメイトの真面目そうな子達はまさか、と顔をしかめる。
あちらこちらで私を見ては面白がって、そして同情と汚いものを見るような蔑んだ目を向ける。
「こういうのが怖いんだろ」
声を荒げてばんっと教卓に拳を叩き付ける。
激しい音に条件反射のように体が小刻みに震える。
「ひっ…」
うっすらと目に涙が滲む。
でもこんな所で涙なんか見せたくなくて佐藤を睨む。
私は、強くなる。
「……そんな音出したら誰でも恐がるよ」
なるべく冷静になるよう声を出す。
気付かれないように浅く深呼吸を繰り返して落ち着こうとする。
「なっ…」
低い、私の声に佐藤が怯む。
まさか反撃されると思わなかったのだろう。
「あなたの隣の子も怖がってるけど」
なるべく冷酷に見えるように奴の左隣の驚愕している茶髪の子を目でそくす。
それはそうだ、隣で急に全力で教卓叩かれたら引くだろう。
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