君へ

16

「なお疲れたでしょ、お風呂入ってきていいよ」
ふたりで使った食器も片付け終わり、戸棚を閉じているなおに話す。
春は仕事を頼んだのでもう家にはいない。
可哀相だがもう今日中には帰ってこれないだろう。
「一応『家』の方から服とか用意させたしシャンプーとかは好きに使っていいからね」
なおの荷物は最低限の物は揃えさせている筈だから大丈夫だと思うけど。
「あ、そういえば春が入浴剤とか色々持ってきてたな」
ごそごそと春が適当に置いていったビニール袋からクマやブタの形の入浴剤を渡す。
「お風呂に入れるだけだから簡単だし、使ってみたら」
適当に可愛いっぽいものを渡し遠慮するなおを脱衣所に連れていく。
「TVもあるからゆっくりあったまるんだよ」
リビングに戻って一息。
はあ。
流石に好きな子をお風呂場に連れてくとか緊張する。

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