王国ファンタジア【宝玉の民】

ドラゴンの噂と無粋な詮索




「いぇね?今、ファンタジアが危ないらしいんですよぉ〜」


そう言ってトールは話を切り出した。



その内容は――。


王国ファンタジアに今、ドラゴンが襲来しては集落や農場を破壊しているという。

そして、ドラゴン討伐の為に各地に現存する部族や民族の中から強者を召集しているらしい。




「その情報のどこに、50万の価値がある?」


ドルメックの視線が、トールに突き刺さる。
もしも視線だけで人が殺せるなら、確実に息の根を止めれるだろう。

トールは慌てて手を振ると、早口に付け加えた。


「ももも、勿論!それだけじゃないっすよぉ〜。
問題はそのドラゴンなんです〜。

とある情報筋からなんですがね?
ドラゴンは魔力の籠った品を集める習性があるらしいんですよぉ〜」



ドルメックは目を見張る。
話が読めてきた。顎で先を促す。



「つまり、ドラゴンが現れるのは、それだけ魔力の籠った品がそこにあるってことなんですよぉ。ファンタジアに行けば、ダンナのお目当ての品の手掛かりを掴めると思いまして〜」


そこまで言って、ヘラヘラと笑うトール。

少し黙考したあと、ドルメックはトールに向き直る。



「50万にはまだ足りないな。何を隠してる?」



ペロリと舌を出し、悪びれもせず先を続けた。


「流石ダンナだ〜♪わかっていらっしゃる〜」




ドラゴンの影響で、王都付近の街道はほぼ封鎖されているという。

通行が許可されるのは、王国から外へ逃れる為に出てきた一般住人と、物資補給の為の王国騎士団、そして、各地に召集を掛けている戦士達のみ。




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