『縛』

／出会い その1

そんな、
出来事のあった、翌日。

体調不良と言って休んだため、
上司に完治の報告と、
詫びを入れて、仕事を
開始した。


しかし、


さっきから、時折、
ものすごく好奇な
眼差しを感じる。

・・・誰よ・・？！

視線を感じた方向を、
ばっと、振り返る。


慌てて視線をはぐらかしたのは
社内で、『ご令嬢』と、
ニックネームをつけられている
佐伯さんだった。

噂では、お父さんが、
某有名企業の重役

本人は、クオーターの超美人
・・・と、くれば、

本人の意向は、さておき
そのハードルの高さは
相当なモノとなる。

男どもにとっては、
もちろん高嶺の花

女にとっても、
比較対象になる事が明らかで
敬遠されがちな相手である。


その結果、可哀相に、
観察の恰好の対象と
なっている状況だ。


いい子だと思うのだが、
残念ながら、仕事上も、
彼女と接点がなく、
同じフロアで働きつつも
私も、挨拶程度の
お付き合いとなってるわけだ。