『縛』

/出会い その2

 


彼女が立ち去り


久々に、イルカを
眼で追った。

あの時、
フランソワに対する気持ちを
整理できたからだろうか?

随分穏やかな気持ちで、
ここにいる。

しっかし・・・
拒まれたよなあ・・。


結構、
タイプだったんだけどな。


携帯がなる。

誰だっけ・・?

「ああ・・美穂か。」

声に出して
つぶやいていた。

電話に出たとたん、
超高速の英語で、
怒鳴られる。

『志央!あんたねぇ?!
どこにいってるのよ?!
人に頼み事しておいて、
何時間待たせるの?!』

えらい剣幕だな・・。

あっ・・・
約束の時間を
二時間経過していた。


「悪い!ちょっと、
とりこんでた。」

そう言ったけど、美穂の
怒りは収まりそうにない。

まいったな・・

『ほんっとに
このバカはっ!
どこで何やってるのよ』

「ああ。女のところで
セックス。」

適当に言ってみたが・・・。

ガシャッ!ブチッ


携帯を投げたんだろう、
カシャンという音と一緒に
電話が切れる。

この手の冗談を嫌う奴に
言うべき言葉ではなかった。

ヤベ・・・
もどろ・・。



 
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