逢瀬を重ね、君を愛す


小鳥が草むらの上でずっと飛んでいる。

草むらの中を覗き込むと、白い足が見えた。



「…は?!足っ!??」



その足から辿っていくと、女の子が倒れていた。


ゆっくり近寄る。

見たこともない服装だった。



「んんっー…」



そっと手を伸ばして触れようとした時、少し身動きした。


驚いてすぐに手を引く。
でもまた動く気配はない。

顔を覗き込むと、寝ているようだ。


不意に彼の頭にさきほどの言葉がよみがえる。



『誰か……この日常を壊してくれ。』



ふっと軽く笑って空を見上げる。



「…非日常か………悪くない。




ニヤッと笑った彼は、彼女を抱き上げる。



「んーっ…アップルパイ………」



寝言は聞かない事にした。




「ふっ…おかしな奴…。」




彼女に笑いかけてから、彼は歩き出した。




この出会いに何かを感じながら。
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