逢瀬を重ね、君を愛す



音を感じるために目を閉じれば、自然と涙があふれてくる。


もう一度目を開け、男の子を見たとき、不意に視線が合った。


「あ、目が覚めたのか」


綺麗なその声で、今まで寝ぼけていた頭が冴える。
同時に、周りの景色を見渡す。


・・・私の部屋じゃない・・・


「ここどこよー!?」



勢い良く体を起こし周りを見渡すが、見慣れた背景はない。



被せてある布団かと思ったものは着物だし
家は木造だし、吹き抜けてるから壁ないし、この部屋自体広すぎでしょ!!!


状況が分からなくなって、混乱していると、さっきの男の子が隣へ座った。


「俺の家。」


さらっと言われた言葉に、硬直した。


「・・・へ?」


「俺の庭にお前が倒れていたんだ。」


そう言って、彼は手に持っていた笛を弄ぶ。


「倒れていた・・・?」


なんで?
< 5 / 159 >

この作品をシェア

pagetop