純白の翼
春、翼、ましろ。

初めて彼女を見かけたのは、入学式。
紺のスカートとブレザーを着ていて、赤の長いくせっ毛に、グレーの大きいビー玉のような瞳が印象的だった。
とても小柄で華奢な体格をしていたのをよく覚えている。
不幸かな、人間中身で勝負と息巻いても、後々まで第一印象は記憶に残りやすい。
可愛い子だと単純に思っていられた昨日の僕。
ああ、その頃に五十万出してもいいから戻りたい。
目の前で三個目のメロンパンを無心で頬張る彼女を眺めながら実感する。
どうやら僕の日常は、奇妙な変化を起こしはじめたらしい、と。
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