なんでも屋 神…第一幕
170センチの一葉から見れば、160センチも無いノリは、確かにミニマムに見えるかもしれない…。



一葉はタクシーに乗ると、何も話さずにずっと窓の外を眺めていた。



…と思ったら寝てた。




ったく、此奴はお気楽で良いな。



タクシーの運転手は、そつの無いどーでもいい話しを振ってくる。



俺は適当に相槌を返しながら、一葉とは逆の窓を眺めていた。



排気ガスとスモッグで淀んでいる隙間から、星が淡く瞬き自己主張している。



[三谷組]に羽尾…そして[住谷組]……[住谷組]か…奴等は必ず。



俺が空から目を落とした瞬間、漆黒のキャンパスに一筋の線が弧を描きながら消えていった。



それは遙か上空で俺を見守る、真美の大きな瞳から落とされた悲しみの涙だと言う事を知る由も無かった…。
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