なんでも屋 神…第一幕
服部が薄茶色のサングラスを外して、静かに俺を睨んでくる。



今まで抑えていた暴力的な部分を、初めて全面に押し出してきた。



「別に名乗る程の者じゃ有りませんが…では葉月の件は片が着いたという事で。」



俺は白いシャツを右肩だけ少し捲り上げ、服部に見せた。



次の瞬間には一葉の手を引き、呆気にとられている服部を横目に事務所を後にする。





「あの、神さんもヤクザなんですか?」



[射ガール]を出てメインストリートを歩いていた時、後ろを歩いていた一葉が恐る恐る話しかけてきた。



「違うよ。俺は一般人…真っ当な一般人とは少し違うかも知れないけどね。」



一葉に苦笑いを見せ、二人で事務所の帰り道を歩いた。



もう少しで、季節は肌寒い秋になるのを夜風で感じながら。
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