なんでも屋 神…第一幕
第三章
次の日、俺は昼前に起きて昔の仲間の一人に会いに行った。



[松田自動車修理工場]工場の上にそうデカデカと書かれた看板は、長年の雨風で赤錆が目立つ。



錆れた鉄骨の柱から、顔だけ出して目的の人物を捜す…。



トヨタのコロナをフロントだけジャッキアップさせて、下に潜っている奴の足に見覚えがある。



「松!」



ガンッ!



…やると思ったけどね…俺の突然の大声にビビった松は、急に顔を上げて頭を何処かにぶつけたらしい。



「痛ってぇ…急に大声出すなよ神!」



そう言いながら台車を滑らせ、ようやく全身を見せた松の額の一部は、赤く腫れ上がっている。



途中買ってきた冷たい缶コーヒーを松に差し出して、片手で謝罪。



松は近くにいたおっさんに、後行程の指示をぞんざいに説明して、俺と共に工場の駐車場へと向かって歩きだした。
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