なんでも屋 神…第一幕
「お前どんだけ偉そうなんだよ。あのおっさんはお前の二回りは違うだろ?」



松は額を缶コーヒーで冷やしながら、タバコに火を付ける



「いいんだよ。年の差を気にして仕事すると、気を使って良い仕事が出来なくなる。それに俺は現専務次期社長だ。そんな事より、帰ってきてたって話しは本当だったらしいな。」



くわえタバコで、煙たそうに片目を閉じながら缶コーヒーのプルを空ける松。



松も、ヒロと同じく13人だけで立ち上げた[cross]の一員。



家が修理工と言う事もあり、車を触るのが好きだったが、高校卒業半年前から、知り合いの彫り師から背中一面に松と鶴の彫り物を入れてもらい、卒業後は黒沢の兄ぃの下で働くと言っていた。



だが、身長が二メートル近くある親父さんに猛反対され、意見を押し切れずに泣く泣く修理工を継いだ。高級車一台分の彫り物が完成した時の一言は。



「もしも死んだ時に顔が無くても、背中で俺だって分かるだろ?」
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