なんでも屋 神…第一幕
そんな訳で、特に突飛した才能等持ち合わせていない俺が選んだのが、[なんでも屋]だった。



今更誰かの下で働くのも我慢がならず、知り合いの人達に協力を頼み込み、この店を開いたのが二週間前。



この部屋も知り合いに頼んで貸してもらったのだが、俺が依頼者の立場だとしても、二十歳そこそこの若造に依頼なんてしないだろうな…。



このビルの一階には喫茶店が入っているので、この二週間は毎日事務所でコーヒーを飲みながら、ぼんやりと過ごしている。



事務所と言っても、部屋の真ん中に木製のデスクが一つと、部屋の隅に折り畳み式のイスが数個置いてあるだけ。



そんな部屋の中で、この二週間の間で勝手に俺のデスクの上に住み着いた、野良猫のミーを撫でながら暇な一日を過ごしていた。



コンコン。



「あの、今って営業中ですか?」



午後の日差しで少しウトウトしていた身体に活を入れ、椅子に凭れていた体を起こした。
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