溺愛窒息Kiss
「あたしも、楽しいよ。亮といるの」
小さくボソリと呟いた。
「え?」
「ほら、着いた。ありがとう」
調度あたしの家に着き、聞き返す亮を無視してあたしは言った。
「え……あぁ」
亮の家はあたしのとこから徒歩十分くらいのとこ。
だから、ここで
「バイバイ。また明日」
また明日。
これは、遠回しの“約束”。
また明日帰ろうね。
おう、と言って亮は帰っていった。
小さくなる背中をただ見つめる。
あたしより小さかった背は、いつの間にか追い越していて。
だんだんと、知らない“亮”になっていってる。
もし、もしあの隣にあたしがいれたら。
そんな願望を押し切るように、あたしは家に入った。