レンズ越しの君へ
「……何?俺の女になるのは嫌な訳?」


「違っ……!」


咄嗟に否定しようとしたけど、断言出来なかった。


「……俺の事、嫌?」


廉はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめて、静かに訊いた。


ずるい……


あたしが見つめられたら弱いって事を、廉は知っているくせに…。


「ユイ……。俺の女になって……」


彼は優しく微笑むと、あたしの耳元で甘くて低い声で囁いた。


ずるい……


ねぇ、ずるいよ……


「おいで」


廉が微笑みながら、あたしの体をゆっくりと抱き寄せた。


その瞬間、心臓が跳ね上がった。


煩いくらいにドキドキしているから、きっと廉にも聞こえているに違いない。


だけど…


頭がクラクラして、もう何も考えられない。


これはお酒のせい……?


それとも……


廉のせい……?


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