「柚奈。先生、もう行っちゃうわよ。」
「うん。今行く。」
「柚奈、大丈夫?」
「何が? 私は大丈夫だよっお母さん。」
「……そう。」
私、津月柚奈(ツヅキ ユナ)は今から大切な人を見送る。
すごく大切な人。
……先生。
「ねぇっ、お母さん。
私の顔大丈夫かな?」
「……、ちょっと目が腫れてるかな。」
鏡でチェックする。
うわっヒド……。
ちょっと所じゃない。
急いで、化粧を直す。
「柚奈。そんな事しなくても、先生はあなたに見送ってくれるだけで嬉しいと思うわ。」
「でもっ綺麗でいたいのっ。最後くらい……。」
「柚奈…、そうね。
じゃあ、早く済ましちゃいなさい。
綺麗にして、見送るの遅くなったら意味ないでしょ。」
「うん。ありがとう。
お母さん。」