秘密の★オトナのお勉強①



…だけど。




「残念だけど、もう時間なのよね」




身に着けている腕時計を見ながら、勝ち誇ったように佐田さんが呟いた。


その顔付きは貞永と同じく、「女優」としてのものに変わっていて。




「これから長い付き合いになるんだから、嫌って程思い知らされる事となるわよ」



「…佐田さん」



「しっかり現実と向き合ってくださいね?新人マネージャーさん」




ニコリと笑うと、佐田さんはコツコツとハイヒールの音を響かせながらあたしの前から去っていった。


静まり返った廊下で、あたしは口があんぐりと開いたまま。



…あの人、一体何者!?


あたしはこれから迎えるであろう波乱を想像しながら、顔を硬くさせていた。




.
< 97 / 416 >

この作品をシェア

pagetop