雪に埋もれた境界線
第六章 奇妙な面接
 サロンでは互いが互いを疑いながら、偽者の高田の話しで持ちきりだった。

 陸はふとサロンの時計を見ると、いつの間にか時刻は午前十時になろうとしていた。


「お待たせ致しました。これより面接を始めさせて頂きますので、始めに石川陸さん、二階の奥にある部屋までお越し下さい」


 部屋の何処かにスピーカーでも備えられていたのだろう。突然、磯崎の声が部屋に響き、候補者四人はびくっとし、名前を呼ばれた陸は慌てて立ち上がった。


「私からみたいですね。終わったらまたサロンに戻ってきます」


「うんうん。どんな感じだったか教えてねぇ」


 久代は陸に甘えた声でそう云い、ウィンクしてみせたので、陸は頷いた。

 そして顔を強張らせながら、見取り図片手にサロンの扉を開けたのである。

 廊下はやはり静かで薄暗く、廊下を歩く際も自分の心臓の鼓動が聞こえるような気がした。

 階段を上ると真っ直ぐ奥へ進み、左側の大きな扉の前までくると、陸は見取り図に目を落とした。

 ここが面接部屋のようだな。

 深呼吸をすると扉をノックした。


「どうぞ、お入り下さい」
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