六人に届いた手紙
第一話 集められた六人
 優子はまず、一番仲が良い親友の幸子の自宅に電話をした。

 幸子は小学校からの友達であり、今では信太の親友である陽一さんの奥さんなのだ。二人は優子と信太が結婚した後すぐ、追いかける様に結婚した。そして現在は陽一さんの転勤先である関西のとある町で暮らしている。偶然にも、幸子と陽一さんの子供である千夏ちゃんは翔と同じ歳の三歳だ。幸子は背が低く童顔で、いつも年齢より幼く見える。性格は明るく、ハッキリと自分の意思を持ち、昔から話し方だけはのんびりしている。


「優子〜! 私もね、手紙を見て午前中、優子に電話かけたんだけど留守だったから。良かったぁ連絡取れて」


「ゴメンね。翔連れて海岸行ってたの。手紙書いたの幸子じゃないよね?」


「もちろん。手紙には加奈よりって書いてあるし、不思議なのが何で加奈の命日に、一番遠い優子の住む島に集まろうとしてるんだろう。それにね、島までの切符も同封されてたからビックリしちゃった」


「えっ? 切符まで? 私他の四人にも電話してみる。後でまた掛け直すね」


 早口でそれだけ言うと優子は電話を切った。

 それにしても切符まで入ってるなんて……。


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