犯人ゲーム
4,四、あるいは死



★ ★ ★


陽一は怒声によって覚醒した。


寝ていたのか、それともただ目を瞑っていただけなのかわからない。


ただわかっているのは体に強烈な倦怠感がある事だけだった。


「『犯人』はお前らの中にいるんだよ!!」


どこかで聞いたようなセリフ。幾分か語調を強めたそれは陽一の後方から聞こえてくる。


一度背伸びをして、緩慢に立ち上がり怒声のするほうに顔を向けた。


マネキンを背景に何人かの男子と、それと同じ位の女子が言い争っている。


「だから、知らないって言ってんでしょ!?」


女子のグループの先頭が怒声を吐き返す。


その声に聞き覚えがあった。


よく見ればそれはーー


「ーー遥?」


そしてその手には、淡いオレンジのライトを歪に受ける黒い銃身。


遥はそれを、男子の先頭に向けた。


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