境界上
†境界上の秘められし想い。
.


今になって。


「ん、あっ、……れっ、ああ……っ」



つくづくこの3年が迂闊と油断の連続だったことを思い知る。



「……んっ、れっ、蓮くんっ好き、好き……あっ!
やんっ――イッちゃうぅ……っ」




蓮のマンションに着いて聴覚が一番最初に捉えた、甘く下品な喘ぎ声。

所謂、まさかの“真っ最中”。


「…………。」



“このアタシがこんな失態、有り得ない。”


そう断言したいのに。

そうもいかない自分の緩い行動の数々に嫌でも気付かされ、またプライドが刺激される。


とにかく苛立った。

今更過ぎて。



返信のないメールを無視した突然の来訪も。

いつしか蓮から当然のように受け取っていた合い鍵も。


“今までのアタシ”が有り得なかったんだ。

本当に見事な“スタンス外れ”。


この3年のアタシの行動全てが“背中の痕”以上の大失態だった。





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