ラブ☆ヴォイス

夏休み突入パーティー

* * * 

「おい。」
「はいっ!」
「タツがお前とメシ食いたいんだって。」
「へ?」
「夜、空いてるか?」
「あっ空いてますっ!」
「7時に家来い。」
「うんっ!」

 耳元に残るあっくんの声の余韻。そして、いきなりのあっくんちへの招待に胸がドキドキする。あっくんのお家はやはり唯にとって特別すぎる空間であることは疑いようがない。

 ハニメロのアニメがスタートして2週間が経ち、昨日第3話の放送が終わった。丁度アフレコ見学させてもらったものが放送されて、なんだか不思議な気分になった。

「あ…でもあっくんちってことはご飯どうするんだろう…?何か作ればいいのかなぁ…?」

 唯は携帯を開いた。あっくんの携帯番号のところまできたのだけれど、そこで一度躊躇する。

「…あたしからかけるの…初めて…かも。かけ直すのも…緊張する。」

 メールはあっくんがいいと言ってくれたから時々しているけれど(返事返ってこない時の方が多いけど)、電話はしてない。そこまでの急用もないし、あっくんの仕事がたくさんあるということも分かっているから。

 迷惑になりたくないのと、もっと近付きたいのと二つの気持ちのせめぎ合いで、結局動けないでいる。でもこれは結構急用のはず、だ。うん、押そう。唯は人差し指で発信ボタンを押した。
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