愛の雫
閉まった扉に寄り掛かりながら、肩で息をする。


凪兄が追い掛けて来たかもしれないけど、振り返る勇気は無かった。


チクチクと刺激され続けている胸が、やけに痛い。


今までどんなに凪兄の事をウザイと思っていても、あんな態度を取った事は一度も無かった。


だけど…


さっきは、あたしの体が凪兄を拒否していた。


あんな言葉を発した理由はわからないけど、自分自身が彼を拒否した事だけは明確で…


初めての感覚達に、胸の奥が締め付けられる気がした――…。


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