お前じゃない
被害者 3
 久美子は腰を抜かし歩けなかったので、だいちゃんがおんぶをして一階まで降りた。

 ロビーのソファーに座らせると、坂上が全員の顔を見回す。


「どうする? 殺人事件だよな? 殺人鬼が隠れてたりしないか?」


「とりあえず、外は嵐みたいだけど、歩いて行ってみるか? 殺人鬼がこの別荘に潜んでいるとしたなら、尚更外の方が安全じゃないか? 助けを呼びに行こう」


 だいちゃんが提案を出したが、久美子が歩けそうもないので、


「僕は久美子さんと待ってるよ! 助けを呼んできてもらえるかな?」


 ハルがそう言うと、俯き難しい顔をしたポッコリ殿が、腕組をしながら顔を上げた。


「じゃあ二手に分かれるか? 待機する者と、助けを呼びに行く者でさ!」


 ポッコリ殿の提案で、ハルと久美子とだいちゃんは、一つの部屋で待機する事になり、ポッコリ殿と坂上は助けを呼びに行く事に決まった。

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