元ヤン彼氏
愛羅武勇
すれ違う人は、みんな、私たちを驚いた目で見てくる。
まぁ正しくは“私たち”じゃなくて、私の隣を歩く“彼
氏”なんだけどね。
「すれ違う男、全員美鈴の見てんじゃねぇかよ」
 その彼氏の様は、変な勘違いですれ違う男たちに嫉妬している
様子。
 すれ違う男じゃなくて全員が見てるのは、あんたなんだけど
けど。
「んな短いズボンはいてくるから、変な男にみられるんだよ」
 ついには、あたしに説教。
 葵くんの髪の色の方が問題ありだと思うんですよ。
「お、葵じゃん? 久しぶり!」
「大和さん! こんちは」
葵の知り合いの先輩は、ガラが悪いっていうか、ケンカ
が強そうな人が多い。


 あたしの名前は城田美鈴(しろたみれい)。 
 今年で高校3年生になった、世界で1番幸せ者の
女子高生。ただいま、デパートで買い物中。
「久しぶりですね。・・・・・・先輩、今とび職やってるんでしたっ
け?」
 ガラの悪い先輩と話してても、何の違和感もない、
あたしの彼氏の名前は、佐々木葵(ささきあおい)。
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