愛羅武勇×総長様Ⅰ

「ファーストキスだね」


-美憂side-


「お、おじゃましまーす…」

「誰もいねぇよ」

「まぁ、一応ね…」

緊張する。こんなことで大ちゃんの家に入るなんて、思ってもみなかったし…

入っていくと「座ってろ」と言って、リビングに座らされた。

どうしても落ち着かないあたしは、キョロキョロと、部屋を見渡してみる。

「何探してんだよ。」

「えっ!?あ、いや………救急箱とかないのかなーって…」

「怪我したのか?」

「してないしてない!」

両手を前に突き出し、ブンブン振ると、大ちゃんは不思議そうな顔をして、あたしを見た。

「大ちゃんの手当てをしようかなーって…」

「お前下手だろ。」

「下手じゃないもん!」

カッターシャツについてる血を見ながら

「大した怪我じゃねーから」

そう言った。

「大した怪我だよ!」

「気にすんな。」

「気にする!いいから、救急箱持ってきてよ」

「………はいはい」

そう返事をすると、大ちゃんはリビングから出て行った。

数分すると、ちゃんとした救急箱を持って帰ってきた。

「ちゃんとしたやつあるんだね」

「あぁ、まぁな。」

救急箱をあけて、消毒液と包帯とバンソーコをだす。

「ゆっくりやれよ。」

「分かってるって…」

ティッシュに消毒液をつけて、額の切り傷に触れた。

< 117 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop