煌めく青春を取り戻す、君と──

*"あの日"

受験シーズンが終わり、結果を待つだけになった。茜ちゃんが最近、来なかったのは受験シーズンが真っ只中だったからだと信じていた。

受験発表日、めでたく合格していた。

「ヒロが進学校行くなんてな。将来はエリートかぁ……、本当におめでとう!」
「ヤバーイ!ヒロがエリートになるの?結婚してー」

「……っるさい、誰が結婚するか!」

友達も希望校に合格していて、今日は久しぶりに遊んだ帰り道。大人数でカラオケをして、受験ストレスを吹き飛ばして来た。

進学先がバラバラになるが、スマホもあるし、友達とはいつでも連絡は取れる。皆の笑顔が眩しかった。

楽しい気分のまま、自宅の玄関を開けたら……、リビングから母さんの泣き声が聞こえた。何事かと思い、急いで駆け寄る。

「……潤兄、母さん、一体……、どうしたの?」

「海大、おかえり」

潤兄は笑ってる。顔中血だらけで、アザも出来てるのに……。まさかとは思うけれど、ケンカ?

「……誰かにやられたの?」

「ヒロ、潤ったらね、ケンカして帰って来たの。母さん、こんなの初めてだから、どうして良いのか分からない……」

泣きじゃくる母を宥めて、潤兄を病院に連れて行くと左腕にヒビが入って居た。
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