ICE

招かれざる客


ここには何艘か船があった。

一番丈夫そうな船を選んで乗り込んだ。

とはいえ、モーターは壊れ、手で漕ぐほかない。

目で見た距離と、実際の距離は違うもので、近くに感じたアフリカは思ったより遠かった。

交代に漕ぎ続けること五時間、やっとの思いでアフリカにたどり着いた。

しかし、やはりさっき見た通り雪に覆われていた。

船から荷物を下ろし、上陸すると嫌な音がした。

9人は衛兵に囲まれ、銃を向けられた。

怪しいものではない。と必死に説明しても効果はなかった。

そのまま逮捕され投獄された。

衛兵は9人を同じ牢獄に入れた。

投獄者の持ち物もろくに調べないずさんな管理だった。

9人はその夜、容易に脱獄できた。

なぜなら、監守が鍵を手にしたまま、牢獄の前で眠ってしまったのだ。

彼らは脱出し、できるだけ遠くに逃れた。

内陸に行けば行くほど、雪は減っていった。

しかし今度は砂漠が広がっていた。

水を求め9人はたまたま見つけたオアシスに立ち寄った。

またしても、取り囲まれてしまった。

今度は、槍を持っている。

明らかに服装や装備が違うことから、さっきのやつらとは違う勢力であることがわかった。

縄で縛られ、樹で作った、お手製の檻に入れられた。

彼らには英語は通じなかった。

そこで、ロビンソン氏はフランス語で彼らに話しかけた。

フランス語はわかるようだった。

ロビンソン氏が聞いたところによると、彼らの部族は政府と戦争状態にあるらしい。

アフリカでは、こうした政府と反政府の戦いが各地で起こっているようだ。

彼らの中の一人が言うには、この内紛は西洋人のせいだと……。

各国の政府を仕切っているのは西洋人らしかった。

そのため、彼らの反西洋の心は凄まじかった。

< 12 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop