ICE
終わりの音
真実
「誰だ、お前は?」
二人の衛兵が立ちふさがった。
「ジェフに会いに来た」
女は静かに言った。
それが許されるはずもなく、あっさりと捕まってしまった。
衛兵は女の手に手錠をかけ、ジェフのもとへ連れていった。
政府の建物だろう。豪華絢爛。財の限りを尽くした建物だ。
正面の階段を登り中に入ると、広いホールがあった。
外装に優るとも劣らない、美しさだった。
ジェフはパソコンの前で、朝食を食べていた。
すると、扉が開き衛兵と汚ならしい格好の女が入ってきた。
「この女が閣下にお会いしたいと……」
ジェフはすぐにその女が誰かわかった。
「エリーナ、生きていたのか」
驚いたような口調で彼は話した。
ジェフは衛兵に彼女を自由にするよう命令し、下がらせた。
「文明人は全員死ぬはずだったんだが、君なら仕方ないだろう」
ジェフは薄笑いを浮かべた。
エリーナには彼の言葉に恐怖を覚えた。
すべて計画通りと言わんばかりだ。
そう考えたとき、エリーナの顔がこわばった。
「そのとおり。君が今、想像した通りだよ」
ジェフは不気味に言った。