ICE
絶望
なんとか食べる量を減らし、婦人が節約したお陰で二ヶ月半は生活できた。
しかし、その生活ももう限界に近づいていた。
食糧自体が底をつき始めたからだ。
放射能の汚染は気になるが、このままでは死んでしまう。
考えた末、シェルターを出ることにした。
幸いウェバーの家が2ブロック先にあった。
彼の家もシェルターが備え付けられている。
「問題はどうやって出るかだ。扉は塞がっている」
ロビンソン氏が言った。
確かに二ヶ月半前、扉は塞がれてしまった。
するとウェバーが言った。
「出口はひとつではない。もうひとつある」
驚いた。なぜ早く言わなかったのかとロビンソン氏は言った。
「聞かれなかったし、ここにいる方が安全でした」
そう言いながら、ウェバーは冷蔵庫を横にずらし始めた。
ロビンソン氏も手伝った。
そこにはもうひとつのハッチがあった。
このハッチは引戸のようになっている。
「緊急脱出用です」
ウェバーはそう言うと、その先にあるはしごを上っていった。
大丈夫、と言う声を聞き、一家もはしごを上った。
そこはベットルームだった。