ICE

楽園


八人のシェルター生活は続いていた。

今日も何時ものように新たなシェルターにトンネルを繋げていた。

誰も期待はしていなかった。

これまで十数個シェルターと接続したが、そのどれにも人はいなかった。

今日もいつも通りハッチを開けた。

驚いたことにそこには若い女性の姿があった。

こちら同様に、女性も驚いている。

彼女はエリーナと名乗った。

初めての生存者発見に皆興奮していた。

しかし、同時に残念な知らせもあった。

エリーナが生活していたので、そのシェルターからは食糧が手に入らなかった。

しかもこの区画にはシェルターはあと一つだけだった。

彼らは行き詰まってしまったらしい。

そんなときエリーナが言った。

「アフリカに行きませんか?」

全員が驚いた。なぜアフリカなのかを訪ねられると彼女は更に続けた。

「アフリカには原子力発電所がありません。あそこなら、普通の生活ができるかもしれない」

確かにアフリカには原子力発電所がなかった。

もしかするとアフリカが地球最後の楽園かも知れないと全員が思った。
< 7 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop