ゆれる
1

アンハッピーバースディ

教室の一番後ろの窓際の
知らない誰かの席に座って
私は校庭をぼんやりと眺めていた。


陸上部は何周も何周もグラウンドを走る。
飛んだり跳ねたり投げたり。
まるで小さなサーカスのよう。

午後4時半。



音楽室からはブラバンのチューニングの音がする。

トランペットの不安定な『ド』。

その音色を聴くといつも私は泣きそうになってしまう。



「燈子ちゃん」



聞きなれたその声にはっと我に返る。

気がつくと隣の席にアイツが座っていた。



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