魅惑のヴァンパイア

ヴァンパイアの秘密

馬車が止まり、上体が前のめりになった。


「どうやら着いたようだ」


ヴラドの後から馬車を降り、到着した場所を見て、思わずたじろいだ。


大理石でできた大きな階段に、天まで届きそうな豪華なお城。


重厚な石造りの外観に、高く聳える尖った屋根が三つ。


まるでシンデレラ城のような白亜のお城が目の前に聳え立っていた。


「そうだ、これを」


差し出されたのは、目だけを隠すベネチアンマスク。


ドレスによく合う白い羽毛でできた仮面だった。


「これは?」


「着けておけ。……死にたくなければな」


ヴラドは、いつもの仮面を着けて、キラリと牙を見せ微笑んだ。


その美しさに、ゾクっとした寒気を覚えて、慌ててマスクを着けた。
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