もてまん
送り狼



「千鶴子さんて、素敵な人だね」



駅までの大通りを歩きながら、舞が呟いた。



(そうだな、あんまりいない逸材だよな、あのキャラは)



心の中でそうつぶやくも、繁徳は無言で歩く。

「シゲがホントに繁さんの生まれ変わりなら、あたし、千鶴子さんに悪いな」

「何言ってんだよ、本人に自覚がないのに、やめろよ」

思いがけない言葉に、繁徳は慌てて否定した。

「でも、シゲと繁さんて、血がつながってるんでしょ」

「お前、なに千鶴子さんから聞いてんだよ」

「ふふ、色々ね」


(色々って何だよ?)


千鶴子が舞に何をどこまで話したのか、繁徳は気になった。


(フランシスの話も聞いたのかな?)


舞と自分が彼女の思い出話を共有しているのかと思うと、繁徳は急に気恥ずかしくなった。
< 157 / 340 >

この作品をシェア

pagetop