もてまん
父と子と

次の日の早朝、目覚まし時計が四時十五分に鳴り響いた。


(天気はどうだ?)


少し明けかけた朝の薄暗闇の中、繁徳は窓を開けて外を見る。

どうやら天気は良さそうだ。

早々、繁徳が着替えて居間に下りると、正徳は既に、仕度を整えコーヒーを啜っていた。


「父さん、おはよう。早いね」

「お前こそ、よく起きれたな」

「目覚まし時計、仕掛けてたからね」

「お前も、コーヒーどうだ」

「うん。それより、確か、ここにシリアルがあったはずだよ……」


繁徳はカップボードの下の扉を開ける。


「ちょっと何か腹に入れないと、俺、動けないよ……」

「そうだな」


正徳と二人、シリアルに牛乳をかけて食べる。

繁徳は妙に浮き立つ気分に戸惑っていた。


「そろそろ行くか」

「うん」


物音をたてないように気を使い、二人でそっと玄関の外へ出た。


(母さん、起こしちゃ悪いからな)
< 206 / 340 >

この作品をシェア

pagetop