初恋タイムスリップ【完】
どのくらい時間が経っただろう…
ドンドン
「桜木さん!」
瀬戸先生の声がした。
私は中から鍵を開けた。
「今日は遅いからどうしたかなって見に来たら、鍵は閉まっているは、ピアノの音はしないは、どうかしちゃったかと思ったわよ〜!」
ホッとした表情で瀬戸先生は椅子に腰掛けた。
「すみません…」
「なにかあった?成海くんと喧嘩でもした?」
「いえ…違います」
瀬戸先生のこういうところが好きだなと思った。
「ほら、彼氏が待っているぞ!早く行きな!」
「すみません…」
私は先生に鍵を渡し、階段を駆け降りた。
上履きを英理の下駄箱にいれた。
真っ暗な外に、成海くんが立っていた。