ケータイ小説ストーカー
第2章

スレ違い


萌絵が花音のファンの中でNo.1になったと思っていた時、花音は複雑な心境になっていた。

確かに萌絵の活動は、自分の書籍化デビューには欠かせない存在になってはいた。しかし、花音の中でのNo.1は栞だったからだ。


栞は花音がケータイ小説文庫に登録した直後からの付き合いで、ただの作家とファンという関係ではなかった。

作品が完結すれば、いつも率直な感想を聞かせてくれた。

何を変えればもっと気持ちが伝わるだとか、この部分の表現がおかしいだとか、的確な意見を提示してくれた。


目立った応援をしてくれる訳ではなかったが、花音が作家を目指す上で貴重な存在であり、何より心から信頼している。

その栞に対する信頼と同等のものは、萌絵には無かった。


それなのに萌絵がファンを束ね、ファンサイトを運営している事に対し、少し違和感を覚えていた。


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