とろけるチョコをあなたに
「……おいひい」

 中に入っているブランデーのせいなのか、赤くなった顔で絵理は呟いた。

「陣も食べてみりゅといい。納得できりゅ味になっていりゅか判断してくりぇ」

 どうやら絵理は酒には弱いらしい。未成年なのに酒豪だったらそれはそれで嫌だが。

「大丈夫かよ。ろれつ回ってないぞ」

 絵理は二人で作ったチョコを一つ、オレの口元まで持って来た。手では受け取らず、そのまま口で受け取った。

 ハート型のチョコが口の中でほどけてアルコールの熱い味が広がる。

 甘く甘く、熱い熱いチョコレート。

 体が火照り、そのままとろけてしまいそうだ。

「……まあまあかな」

 嘘である。

 美味い。

 めちゃくちゃ美味い。

 二人で作ったチョコだと思うと更に美味い。

 青司なんぞにくれてやるのは惜しいが、そのために作ったのだから仕方あるまい。

 オレと絵理の愛の結晶を食って悶絶しやがれクククフフフアハハハハハ。

「陣、何をそんなにニヤついているのら」

 絵理が不審そうにこちらを見たが、そんな事は気にならないくらい気分が良かった。

「いや、やっぱ手作りのチョコは美味いなって思ってね」

 オレは数日前とは正反対の見解を述べ、幸せな気分のまま暫く絵理の顔を見つめていた。
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