とろけるチョコをあなたに
「ま、今は逆チョコなんていうのも流行ってるみたいだし、受身一辺倒っていうのもナンセンスなんじゃないかしらね」

「何が言いたい」

「そんな辛気臭い顔で溜息なんかついてるよりも、あげる側に回ってみたらって言ってるの。あ、もちろん私にも忘れずにね」

「ちゃっかり催促かよ。ま、考えとく」

 あげる側、か。貰えるとか貰えないとか、そんな事でうだうだ悩むよりも自分で行動を起こした方がいいよな。

 オレの溜息の理由など、千沙子にはお見通しだったという訳だ。

 最初にからかわれた苛立ちと心の内を見透かされた気恥ずかしさでぶっきらぼうな返答になってしまったが、千沙子のおかげで吹っ切れたような気がする。

 千沙子がオレの返事に対してにやりと笑ってみせると、丁度授業時間を告げるチャイムが鳴った。
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